
トライアルやイオン九州などが参画する「九州リテールメディア連合会」の定期勉強会 横の連携強化で業界全体の発展を促す

トライアルは小売り・流通業界全体の課題解決に貢献するべく、他企業との共同プロジェクト発足など横の繋がりも重要視していることはこれまで紹介してきた。一方で、グループ内のマーケティング・ソリューションカンパニー「SalesPlus」も、”リテールメディアの活用”という観点で企業間の交流促進に力を入れている。
今回はSalesPlusが主催する「九州リテールメディア連合会」と、直近開催した勉強会の内容について話を聞いた。
―まず、「九州リテールメディア連合会」について教えてください。
大塚「九州リテールメディア連合会は、消費者の生活に寄り添うメディアネットワークを作っていくことを目的として、2023年8月に発足しました。小売業界を中心に、アサヒビール様やアース製薬様などの関連企業にも参画いただいています。昨今、デジタル広告のサードパーティークッキーの規制などが強化されることを背景に、ファーストパーティーデータを保有しているリテールメディアに大きな注目が集まっていると感じています。リテールメディアは今後もより一層重要なマーケットになっていくかと思いますので、その活用の可能性を広げるために、勉強会の企画などを行っています。」
―ファーストパーティーデータがあるというのは、小売りならではの強みですよね。
大塚「そうですね。リテールメディアは、ファーストパーティーデータによるターゲティングの効率化のほか、自社で取得したデータのため、自社のサービスとユーザーの結びつきが強いため、プロモーションの効果測定が行いやすい点が強みとして挙げられるかと思います。SalesPlusもスタッフの増員を図りつつ、リテールメディアの活用により力を入れていく方針で、九州リテールメディア連合会が”日本一効果的・効率的なメディアネットワーク”になることを目指していきたいと考えています。」
―1月30日に開催した勉強会では、どのような内容が発表されたのですか。
関「今回は2024年における、リテールメディアの振り返りを行いました。九州リテールメディア連合会の勉強会はこれで6回目となります。
昨年はSalesPlusとしても新しい取り組みが特に多く、地域に根ざした訴求や、歴史の長い商品の再活性化、購買対象となる層が狭い商品のターゲティング、季節に合わせた出稿戦略など様々なトライがありました。代表的な例が、サントリー様の「サントリー生ビール」のプロモーションで行った「リテールメディア横断サイネージ×ローカルテレビCM」です。広告出稿にあたり事前の分析から企画制作・出稿・店舗連動まで、各地域にマッチするリテールメディア戦略を立案したほか、イオン九州様・西鉄ストア様・トライアルの店内サイネージにおいては、ありもののCM素材を使用せず、新たにそれぞれの店舗で撮影をし直した専用のCMを制作し放映しています。その結果、各店にマッチした訴求を実現することができ、売上増加に寄与するとともに追加施策にも繋がりました。」
勉強会の様子
―トライアルとしては、リテールメディアの活用についてどう考えていますか。
野田「売り場とお客様を繋ぐリテールメディアは、お客様のファン化を実現するためのツールになり得ると考えています。今後は組織をさらに強化し、DX化の推進やPOP・サイネージの展開等を拡大するとともに、お客様の興味喚起・商品理解を図るために、自社の情報発信メディアと連携した商品訴求にも力を入れていきたいですね。
直近はアプリ・商品・トライアルマガジンの連携をより強化しているため、そこから得られる分析データなどを活用して、よりマーケティング戦略の幅を広げていこうと考えています。」